一汁三菜の味

日本の伝統的食文化の長所・魅力について書いてあります。

日本の伝統的食文化の長所、先哲に学ぶ命の重み

日本人の体質に合った食生活

最近、「人種差」を考慮した健康法・栄養摂取法の重要性が指摘され、それへの関心が国際的な広がりを見せている。それによると、西洋人・東洋人・日本人…といった人種の違いによって体質が異なり、体質が異なれば、健康法も食生活も変わらなければならないというのである。

 

わが国でも、奥田昌子氏がその著「欧米人とこんなに違った日本人の『体質』」(講談社ブルーバックス)のなかで、とくに欧米人と日本人の体質の違いに注目し、健康法も食生活も相互に異なるべきことを指摘し、次のように記している。

 

すなわち、「欧米人と日本人とでは、同じ人間であっても、外見や言語が違うだけでなく、筋肉の付き方や脂肪の質、体温、食物の消化吸収力、アルコール分解力、インスリンの量、腸内環境など、さまざまの面で違いが生じている。」したがって、欧米人と日本人とでは、それぞれの健康法も変わらなければならないし、摂るべき食べものも変わらなければならない、と。

 

日本人の体質に合った食生活

私たち日本人は、とくに明治以降、食生活の欧米化をすすめて今日に至っている。こうした食生活の欧米化が、真に日本人の体質に有効であるのか、日本人の健康にどのような影響を及ぼしているのか、これまであまり検討されないまま今日に至っている。明治に至るまでの日本人は、獣肉に依存することが少なく、穀物と野菜と魚介類、それに鶏肉をも加えた食生活を定着させてきた。牧畜・獣肉への依存度の低い日本人の伝統的な食生活は、今では、健康長寿食として世界的にも注目されている。

 

長寿のカギが、伝統的な和食にあることは、これまでも様々に指摘されてきているが、最近の東北大学大学院の都築毅准教授のグループの研究も、その一つである。

 

グループは、1975年の平均的な家庭の献立と現代食(2015年当時)のそれとを比較し、その上で、長寿のカギは、肉類への依存度の低かった1975年ごろの伝統的な和食に立ち返ることにあると説いている。(朝日新聞2018年10月8日朝刊より)